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◆藤堂 加奈◆
藤堂加奈、俺の妹。
生まれつき内臓を患っているせいで、家で一緒に
過ごす時間は短い。子供の頃は、ほとんど他人同然だった。
他人であるはずの加奈が、いつも両親にちやほやされるのは…正直あまり好きじゃなかった。自分の親が奪われたような気がしていた。だけど、ふとしたことで俺の肩にその責任が委ねられた時、あまりの儚さにぞっとしたことを覚えている。あれからだ、俺と加奈の関係が劇的に変化してしまったのは。 |
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◆鹿島 夕美◆
幼なじみ、と言うほど親しくはなかった。
鹿島夕美とは小学校で初めて出会った。同じクラスだったんだ。だけど特別仲が良いとか、そんなことはなかった。話したことだってろくになかったはずだ。くるくる動いて活発そうな鹿島は、いつもクラスの中心にいた。そしてある時、俺と鹿島の間で事件が起こった。事件は鹿島に対する俺の思考を、がらりと塗り替えてしまった。そしてその因縁を、俺も鹿島も何年も引きずっていくんだ。 |
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◆近藤 美樹◆
近藤美樹さん…この人とのつきあいも長い。
まだ小学生の頃、美樹さんは新米看護婦で、大学生の頃、
美樹さんはベテランになっていた。
つまり、それほど長い関係だってこと。
俺たち兄妹と美樹さんは、いつも良い友達だった。
どことなく母性的で、屈託がない性格をしている。
でも俺は、なぜかこの人に苦手意識がある。
理由を…ちょっと今は忘れてしまったけど、何かあったような…。 |
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◆霧原 香奈◆
霧原香奈。加奈と同じ名前でまぎらわしいが、
属性は正反対だからよしとしよう。
明るくて、元気で、負けん気が強い。運動神経が良くて、
ぱたぱたよく走る。そんな香奈は、実は慢性肝不全だ。
だから香奈が走るのはいつも病院だったし、
悪戯をするのも病院だった。
香奈と、その母親である須摩子さんとの親子の絆は、加奈の心にとても大きなものを残してくれることになる。 |